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福島地方裁判所 昭和48年(わ)9号 判決

本籍ならびに住居

福島県双葉郡富岡町大字小浜字月ノ下四番地

不動産取引業、運動具販売業

坂本平治

明治四二年二月一〇日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官内田健出席のうえ審理をし、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役四月および罰金一〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金四〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、福島県双葉郡富岡町大字小浜字月ノ下四番地に居住し、運動具販売業および土地・建物の販売ならびに賃貸等の宅地建物取引業を営んでいるものであるが、所得税を免れようと企て、不動産販売の売上げおよび家賃収入の一部を除外するなどの不正の方法により、

第一  昭和四四年分の総所得金額が八一六万八、八五三円で、これに対する所得税額は二七八万八、〇〇〇円であつたのにかかわらず、昭和四五年三月四日所轄相馬税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が二五五万六、四九七円で、これに対する所得税額が四〇万八、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、昭和四四年分の右実際の所得税額と右申告税額との差額二三七万九、三〇〇円をほ脱し、

第二  昭和四五年分の総所得金額が一、八八五万六六九円で、これに対する所得税額は八一七万八、七〇〇円であつたのにかかわらず、昭和四六年三月三日所轄相馬税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が二〇八万五、六五七円で、これに対する所得税額が五六万円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、昭和四五年分の右実際の所得税額と右申告税額との差額七六一万八、七〇〇円をほ脱し、

たものである。

なお、右各事業年度における実際の総所得金額の算定については別表第一および第二の修正損益計算書記載のとおりである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書二通

一、被告人に対する収税官吏の質問てん末書二二通

一、次の者らに対する収税官吏の質問てん末書(各一通。ただし、石関建治分は二通、堀内富實保分は三通、関慎之助分は六通)

小島久雄、堀内富實保、石関建治、飯島カツ、池田幸一、西茂雄、関慎之助、大竹昭、高林一郎、大室惣一郎、樫村一男、阿部紀忠

一、次の者ら作成の各上申書(各一通。ただし、阿部紀忠分は四通)

石関建治、元木由祀子、丸野公敏、加藤善作、大室惣一郎、阿部紀忠

一、収税官吏作成の所得税の修正申告書謄本三通

一、検察事務官作成の報告書

一、元木幸良、佐藤増雄、柳沢明作成の各「取引内容の回答について」と題する書面

一、蕨市長および川口市長作成の各「固定資産税の納付状況等の回答について」と題する書面

一、福島県土木部長作成の「宅地建物取引業者の免許に関する調書について」と題する書面

一、押収してある所得税申告資料三綴(昭和四八年押第八号の三ないし五)

判示第一の事実について

一、次の者らに対する収税官吏の質問てん末書(各一通。ただし、飯塚幸作分および小池基次分は各二通)

飯塚幸作、鈴木定夫、桑山茂樹、小池基次、高嶋修一郎、杉猛、深沢薫、玉崎栄三郎、早川享延、西本三郎、森本公二、猪狩一(第一回のもの)、石毛広治、貫井友明、

一、次の者ら作成の上申書(各一通。ただし、杉猛分は二通)杉猛、有本国彦、両倉辰雄、山田時太郎、宇佐美秀介、早川享延、新沢幸一

一、玉崎栄三郎作成の「坂本平治氏の取引について」と題する書面

一、渋谷吉勝、佐藤治己および細田良平各作成の「取引内容の回答について」と題する書面

一、収税官吏作成の「大伸商事株式会社の解散時(四三年八月一六日)現在の資産負債調査書」と題する書面

一、収税官吏作成の脱税額計算書(自昭和四四年一月一日至同年一二月三一日のもの)

一、押収してある所得税確定申告書(昭和四八年押第八号の一)

判示第二の事実について

一、次の者らに対する収税官吏の質問てん末書(各一通)青木勇、福原保、中橋義夫、井上義隆

一、石川昇、石川孝男作成の各上申書

一、収税官吏作成の脱税額計算書(自昭和四五年一月一日至同一二月三一日のもの)

一、押収してある所得税確定申告書(昭和四八年押第八号の二)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法第二三八条第一項に該当するところ、情状により懲役刑と罰金刑を併科することとし、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期、罰金刑については同法第四八条第二項により右各罪所定の罰金の合算額の各範囲内で被告人を懲役四月および罰金一〇〇万円に処し、右の罰金を完納することができないときは、同法第一八条により金四、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、なお諸般の情状を考慮して同法第二五条第一項を適用し、本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 兼野安次)

別表第1 修正損益計算書

自44.1.1 至44.12.31

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

別表第2 修正損益計算書

自45.1.1 至45.12.31

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

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